グルメサイトを利用していた時代は、飲食店を探す際に不可欠な存在でした。しかし、最近ではその人気が下降傾向にあります。今年6月、食べログを運営するカカクコムは、飲食店からの同サイトの運営方法を巡る訴訟で、初めて敗訴の判決が下されたことがその一例です。ここ数年のグルメサイトに関する意識調査では、グルメサイト時代の終焉と次の新たな時代のプレイヤーがより鮮明にみえてくる結果となっています。
グルメサイトが失速する理由として、その広告メディアとしてのビジネスモデルに限界がきていることが挙げられます。食べログをはじめとするグルメサイト各社は、主に飲食店からの月額固定の掲載料と従量課金の送客手数料によって収益を得ています。しかしながら、グルメサイトが提供する情報は、ユーザーにとって満足度の高いものではないという声が上がっています。例えば、グルメサイトの検索結果は、契約料が高い順に表示されることが多く、ユーザーが「自分好みのお店」を見つけるためには、かなりの時間を費やす必要があります。また、グルメサイトは、飲食店にとってもコストが高く、信用度の低い評価や不正確な情報が掲載されることもあるため、不満の声が上がっています。
一方で、ユーザーは、グルメサイトよりもGoogleマップやInstagramなどの検索ツールを好んで利用するようになっています。Googleマップは、特定の飲食店に偏ることなく、検索結果を一覧で表示することができるため、より多様な情報を簡単に入手することができますし、Instagramは、写真やコメントを通じて、直感的にお店の雰囲気や料理の味を知ることができるため、より直感的な情報を求めるユーザーから支持を得ます。
新しい時代の幕開けに飲食店が取り組むべきDXは次のようなことが考えられます。
オンライン集客の強化
グルメサイトの衰退に伴い、飲食店は自社のオンライン集客に注力する必要があります。GoogleマップやInstagramなどのSNSプラットフォームを活用したプロモーションや、自社のウェブサイトを充実させることで、ユーザーに直接アプローチし、集客を図ることができます。
パーソナライズされたサービスの提供
飲食店は、ユーザーの好みや嗜好に合わせたパーソナライズされたサービスを提供することで、顧客ロイヤルティを高めることができます。例えば、ユーザーの過去の注文履歴や予約情報をもとに、オーダーメイドのメニューやクーポンを提供するなどの工夫が考えられます。
オンライン注文やデリバリーサービスの拡充
COVID-19パンデミックの影響により、オンライン注文やデリバリーサービスの需要が急増しています。飲食店は、オンライン注文やデリバリーサービスを積極的に拡充することで、より多くの顧客にサービスを提供することができます。
顧客とのコミュニケーションの強化
飲食店は、SNSプラットフォームを活用した顧客とのコミュニケーションを強化することで、顧客のニーズに合わせたサービスを提供することができます。顧客からのフィードバックやクレームに対する迅速な対応や、イベント情報やメニューの新着情報などをSNSを通じて配信することが考えられます。
新しいテクノロジーの活用
飲食店は、新しいテクノロジーを活用することで、より効率的な業務運営やサービス提供が可能になります。例えば、AIを活用した注文受付や自動調理装置の導入、無人レジシステムの導入などが考えられます。
これまで投下していた予算配分、販売戦略の見直しを迫られる時期にあるのかもしれません。